プルサーマル

プルサーマル計画
 使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、ウランとの混合酸化物(MOX)燃料にして一般の原発でまた使う発電計画。高速増殖炉の実用化にめどが立たないため、国は核燃料サイクル政策の柱と位置付けるが、本来、現行の原発はMOX燃料の使用を前提として造られていない。毒性が強く核兵器の材料になるプルトニウムを扱うこともあり、地元住民らには不安感が根強い。
玄海原発MOX装てん開始 核燃サイクル視界晴れず
(2009年10月16日掲載)

 九州電力のプルサーマル計画に向け、15日午前始まった玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)3号機へのプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の装荷(装てん)は、同日午後も引き続き行われた。作業は24時間態勢で進み、19日に終わる予定。
 
 九電によると、15日は午前8時にウラン燃料を原子炉容器に入れる作業を開始。ウラン燃料を4体装てんした後、1体目のMOX燃料の装てんが始まり、同11時8分に完了した。作業は順調という。
 装てん終了後は国の使用前検査があり、11月上旬に試運転に入る。順調に進めば12月上旬にも通常運転となり、国内初のプルサーマルが始まる。
 
 ●プルサーマル、再処理 計画大幅遅れ 「国策」推進へ理解不可欠
 
 九州電力玄海原発3号機(佐賀県玄海町)で15日、プルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料の装てんが始まり、国内初のプルサーマル計画は節目を迎えた。国や電力業界は、玄海原発でのプルサーマル実施を、国策の核燃料サイクル推進につなげたい考え。ただ、電力業界全体のプルサーマル導入計画や使用済み核燃料の再処理工場の操業は大幅に遅れており、国策の先行きはなお不透明だ。
 
 フランスで加工されたMOX燃料は5月に、四国電力・伊方原発(愛媛県)と中部電力・浜岡原発(静岡県)にも搬入され、両電力は次期定期検査後のプルサーマルを目指す。関西電力なども準備を進める。
 
 ところが、電力業界は国民に繰り返し説明してきた「2010年度までに16―18基」というプルサーマル導入計画を6月に5年先延ばしした。実現性のある計画に見直すよう国の原子力委員会委員長から求められたためだ。突然の計画変更は国民の不信感を招きかねない。
 
 核燃料サイクルの要の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)も難航し操業延期を重ねている。高レベル放射性廃液を封じるガラス固化体の製造試験がうまくいかず、事業者の日本原燃は今年8月の予定だった操業開始を10年10月に延期。MOX燃料の加工工場も完成時期が15年に先延ばしされた。
 
 再処理工場の完成遅れは、使用済み核燃料の受け入れ見直しにも飛び火。各原発で貯蔵する使用済み核燃料の保管場所確保が電力業界の懸案に浮上してきた。
 
 再処理で得たプルトニウムを一般の原子炉で燃やすプルサーマルは、プルトニウムを有効利用できる高速増殖炉サイクル完成までのつなぎ役。しかし、肝心の高速増殖炉開発は原型炉「もんじゅ」の事故で止まったまま。プルサーマルは当初計画から10年遅れでようやくスタートするものの、核燃料サイクルはあちこちで計画延期が相次ぎ、全体を展望するのは困難な状況だ。
 
 地球温暖化対策で、発電時に二酸化炭素(CO2)を出さない原発が再評価されている。CO2排出量の大幅削減には原発の新増設が不可欠。九電が鹿児島県薩摩川内市で計画する川内原発増設の環境影響評価手続きで環境相が「最大限の活用」を求めるなど、新政権も原発推進姿勢を堅持している。だが「国策だから」というだけでは国民の理解は広がらない。
 
 安全性への不安などから、プルサーマルにはなお根強い反対の声がある。地元軽視だとして、MOX燃料の装てん延期を強いられた玄海原発でのプルサーマルから何を学ぶのか。核燃料サイクルを含む原子力政策の推進には、国民とのより深い対話が必要だ。
[PR]
by akikonoda | 2009-10-16 21:07 | 記憶
<< じをならし ほどけてく >>