足が冷えるので
すりっぱを探しに行った
見知らぬ女の人がやってきて
ぬっと前に立ち尽くしたまま動かなくなった
すりっぱがみえないので
ずれるとその女の人がわたしの顏をしげしげと見ながら
ほんとに
寒いですよね
むかしからの知り合いのように
話し出した
いえね
最近さむくなってすりっぱをね 買いにね
白髪の混じった50過ぎだというその人は
わたしの顏をじいっと見ながら話し続けた
更年期障害か 低血圧か
その境目が分からないのよね
と言って
ちいさなしわを顏の真ん中によせあいながら笑った
それがね 私の妹がね
脳溢血か ほてりか わからないといってたのよ
すりっぱを探しに来ているのか 話し相手を捜しているのか
それはわたしにもわからないような気がした