高速増殖原型炉「もんじゅ」、14年ぶりに6日再起動へ
2010年5月5日19時19分 運転停止中の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の再起動に向け、経済産業省原子力安全・保安院は5日、最終の立ち入り検査を完了させた。もんじゅの事業主体・日本原子力研究開発機構は、6日午前10時半をめどに運転を再開させる。 もんじゅは1995年12月、冷却材のナトリウムが漏れる火災事故を起こし、運転停止に追い込まれた。国と福井県などは4月末、安全管理の徹底や地域振興策の実施などを条件として、14年余ぶりに原子炉を再起動させることで合意していた。 保安院はこの日、検査を踏まえて「おおむね運転再開の準備が整っていることを確認した」との見解を示した。 〜〜〜〜〜〜〜 1995年12月のナトリウム漏れ事故で停止していた日本原子力研究開発機構(原子力機構)の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市、28万キロワット)が6日午前、運転を再開した。高速増殖炉は熱伝導にナトリウムを使うため、空気中の水分と反応して火災を起こしやすい難点がある。火災による停止から14年5カ月。原子力施設では世界でも異例となる長期の運転停止期間を経て、国が未来のエネルギーと位置付ける核燃料サイクルの中核施設が動き出した。 原子力機構は6日午前10時36分、19本ある制御棒のうち1本の引き抜きを始め、原子炉を起動させた。8日には、出力0.03%で核分裂反応が一定になる「臨界」に達する見込み。 もんじゅは85年に着工し、94年に初臨界に達した。しかし、出力40%で運転中の95年12月8日、2次系ナトリウム配管の温度計が設計ミスで折れ、ナトリウム約640キロが噴出。空気中の水分と激しく反応して火災が起きた。原子力機構の前身の旧動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は、事故直後に現場を撮影したビデオの一部をカットして公表。「情報隠し」と強い批判を受けた。その後、組織改革などを進めて体制を見直し、07年5月に改造工事を終えた。 運転再開は当初、08年2月に行う予定だったが、ナトリウム漏えい検出器の取り付けミスや自治体への通報遅れなど不祥事がまた相次ぎ、再開は4回延期された。結局、着工から09年度末までに予算ベースで9032億円が費やされた。 経済産業省原子力安全・保安院と内閣府原子力安全委員会は、今年3月までにもんじゅの耐震性を含む安全性について「妥当」と判断し、運転再開を容認。西川一誠・福井県知事も4月28日、運転再開を了承した。 今後は、11年度に出力を40%にまであげるなど、約3年をかけて3段階で出力を引き上げて性能試験を行う。発電は11年5月ごろの予定で、試験をすべて終了し本格運転に入るのは13年4月になる見込みだ。【酒造唯】 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ナトリウム漏れ事故で運転をストップしていた高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が6日午前、運転を再開した。日本原子力研究開発機構(原子力機構)にとっては、二度と失敗が許されない国家プロジェクト。関係者は原子炉が起動する様子をかたずをのんで見守り、再開の合図とともに拍手がわき起こった。再稼働による地域振興に地元住民は期待を寄せる一方、世界各国で中止や撤退に追い込まれた高速増殖炉の運転に、反対派の人たちからは改めて懸念する声が上がった。【酒造唯、高橋隆輔、橘建吾】 もんじゅ建設が決まった1970年当時、地元・敦賀市白木地区の区長だった橋本昭三さん(81)はこの日、自宅で感慨を持って見守った。 橋本さんは20歳の時から、地元の出来事を記録している。建設受け入れにより、行き交うのがやっとの道路はもんじゅの建設工事とともに拡張され、暮らしはみるみる便利になった。もんじゅ関連の企業には、住民約80人のうち十数人が一貫して雇用されてきた。安定した収入先ができ、橋本さんは「若い人が農業や漁業を継がなくても不安がない」と率直に思うという。「安全を確保し、気を緩めずにしっかり運転してほしい」。橋本さんはそう願っている。 一方、地元では、もんじゅ再開に反対する人らがゲート前に集まって抗議集会をするなどの動きがあった。午後にはもんじゅ廃炉を訴える全国集会を毎年開いている「原子力発電に反対する福井県民会議」(事務局・福井市)が、もんじゅの見える敦賀市白木の海岸で抗議集会を開き、抗議声明を原子力機構側に手渡す予定だ。 同会議の代表委員でもんじゅの設置許可無効を求めた訴訟の原告団にも参加した吉村清さん(84)は「高速増殖炉は、実現が難しいから14年以上止まっていた。まともに動くとは思えない」と批判した。
by akikonoda
| 2010-05-05 21:47
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