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死霊とギリシャ神話辞典

 古本屋で、「死霊」と「ギリシャ神話辞典」を見つけた。以前、「動物の性行動」という本を見つけたあの本屋だった。
 すでに、跡形もなく立ち消えていた「動物の〜」は、やはり縁がなかったのか。残念である。
 ちらっと立ち読みしただけだが、いわゆるカマキリの男女の交わりの後、雌が雄を食っちゃって、本当の意味で一心同体になる哀しく怖い話などは有名なところで、それ程新しくもないのだが、その先が面白かった。雄が事が済んだ後、食われる前に何気なく逃げ去るテクニックを身に付けているということなのだ。そうじゃないと、やはり、生き残れないのだろう。素早い身のこなし、男女ともに見習わなければならないことかもしれない。お互い、死ぬか生きるかのぎりぎりの愛。究極の離れ業を垣間見た気がした。
 また、気になるところとしては、動物の世界では、同性愛的行動が、かなり頻繁に見られると言うことを具体的な動物の行動を背景に述べていた点であった。サル系の「まうんと」は是又有名な話で雄の序列をその行為で指し示す良い例だが、別の動物、例えば鳥などでも見られると言うことだったので、これは、異常/正常を越えた部類の自然な行為と言うことを証拠つけることかもしれないと思い、是非、その研究結果、考察をくまなく拝見したかったのだが。
 コクトーや三島等、いわゆる同性愛的傾向を持ったものが、両性具有的なもの、行為を嗜好することは、そんなに不思議なことじゃないのだ。と、いうことを、動物の視点からえぐりだすと言うことも出来て、面白いなと思ったのだが。マニアック、ア二マックな?視点が得られることは、間違いなかっただろうが。誠に残念である。
 いずれまた、必要な時には、現れてくるのかもしれないが、今は必要ないと言うことなのだろう。
 と、何気なく、目を移したその先に、ひっそりと、本棚に居並ぶ本の上の方に、一冊だけ、横になって行き倒れているような、「死霊」を見つけた。
 図書館で借り物の死霊を読んだのは随分前のことなので、またじっくり読み返したいと思っていたところだった。
 待っていてくれたのか、行き倒れながら。
 いや、お釈迦様がひじを突いて横を向いて寝転がっている、涅槃で待っているような姿にもだぶり、思わず、ありがたくなり、駆け寄った。
 その近くに、ギリシャ神話辞典も、ここにいる。と言いたげに置いてあった。
 迷わず、手に入れた。
 やはり、求めるものは、救われるのか。
 呼び合うものなのか。
 素直にうれしかった。
 とりあえず、まだ続きはあるので、じっくり時が来るのを待ちながら探していこうと思う。
by akikonoda | 2006-09-11 10:16
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