2006/10/08
【ベルリンIPS=アリソン・ラングレー、9月29日】 アムネスティ・インターナショナルは、女性7人に対する石打ち刑の停止を求めてイランに書簡を送るようメンバーに対し緊急アピールを出した。 7人のうちほぼ全員が、姦通罪での石打ちによる死刑判決である。2002年にイランは、この残忍で苦痛な慣行に対しモラトリアム(一時停止)の実施を定めたが、アムネスティはこの判決が継続されていると主張している。アムネスティは5月に2人の石打ちによる死刑執行があったとの信頼できる報告を受けている。 国連人権委員会は、姦通や密通を犯罪として扱うのは国際人権基準に適合しないとの裁定を行っている。 アムネスティは「姦通に対する石打ちによる死刑判決は、イランが締約している市民的及び政治的権利に関する国際規約の第6条2項の『死刑はもっとも重大な犯罪についてのみ科することができる』とする規定に違反する」と緊急アピールで訴えている。 シャリア法に従い、囚人は胸まで埋められ、手の自由も奪われる。さらには即死せずに苦しんで死ぬよう投げる石の大きさまで定められている。石打ちによる死刑は男女ともに対象であるが、石打ち刑の適用は女性が圧倒的に多いのが現実である。 アムネスティの中東担当広報官のNicole Choueiry氏はIPSの取材に応えて「この残忍な慣行を廃止すべき時だ。人々は国によって生命の権利を奪われているだけでなく、拷問を受けてい る」と述べ、「イランは国際人権基準に適合するよう緊急に国内法の見直しをすべきである」と訴えた。 石打ち刑の判決を受けている女性は上記7人以外にも数多くいる。ある1人の女性は「絞首刑を受ける用意はできているが、頭や顔に石を投げられて死ぬのは堪え難い」と述べているとアムネスティは伝えている。 貧困のため夫に売春を強要され、姦通罪で石打ちによる死刑判決を受けている女性など、イランにおける石打ちの刑に関するアムネスティの訴えを報告する。(原文へ) 翻訳/サマリー=坪沼悦子(Diplomatt)/IPS Japan浅霧勝浩 IPS関連ヘッドラインサマリー: イラン:青少年も受ける死刑 パキスタン:姦通罪で収監された女性に希望なし 家庭のイスラム教徒の実相 中国各省におけるあまりに多すぎる死刑判決 (IPSJapan) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 実際に、姦通罪で石で打殺されているとすれば、あまりに酷いことであるし、その背景を考慮しても、女性だけが罪と罰を受けると言うことは、あまりに矛盾している。 かりに、姦通が罪であるとしても、その両者ともに罪と罰はかかり、さらに、売春を促した女性の連れ合いにも、当然、その罪と罰は向かうものと思われる。 しかし、平和の国と思っている日本の中で、今も死刑が執行されている事実に照らし合わせれば、日本自身も、中国同様に、死刑を黙認している野蛮な酷い国であると、アムネスティから非難されている立場を忘れてはいけないことに気づく。人事ではないのである。 死刑執行の理由の軽重もあるかもしれないが、罪が重いと言うことで、死刑そのものをよしとすることも、なんとも言い難い矛盾を抱えていると思わずにいられない。 辺見庸氏は、死刑執行を言い渡された人と交流していた時のことを書いていたが、死刑は認められないと言い続けていた。何事にも、怒り続けた人である。 今、癌を患ったり、脳梗塞の為、身体が不自由になったりしながらも、自分と向き合い、何かを訴え続けているのを見るにつけて、自分に厳しい人だと思った。 以前、何かのドキュメンタリーで、ご自身の娘さんとの対話をありのまま放映しているのに、愕然としたことがある。 砂漠のような、砂丘で、娘さんと二人で対話しようとしていた。 不器用な父親とぶっきらぼうな娘さんとのやりとりは、あきらかに、すれ違っていた。 話が嚼み合わないまま、沈黙すらもカメラはとり続けるのだが、ふいに、娘さんの携帯が鳴り出す。彼女の友人からの電話らしかった。 娘さんは、いわゆる法に触るすれすれの場所で働いていたらしく、そこでの客とのやり取りを、友達と話している。もしかして、客から何かの病気をうつされたかも知れないというようなことも、父親やカメラがあるにもかかわらず、語り続けていた。 そこで、カメラを止める事も出来たと思う。娘をカメラから遮ることも出来たと思う。 しかし、彼はカメラを止めることなく、それを聞いていた。 娘さんからの父親に対する答えである。と受け止めていたのかも知れないが、あまりに厳しい現実に、打ちのめされてもいるようでもだった。 世界の矛盾に怒り続けた男が、自分自身の矛盾に沈黙した瞬間だった様な気もしたが、事実というよりも、真実を黙って受け止めているような気がして、尚更、痛みが増幅し、自分は見続けることができなかった。 見えない石を投げつけられているような気がした。 死に到る見えない石は、その痛みとともにやってきて、身体の奥深くに、黒い塊となっていったような気がしてならない。 厳しい。本当に厳しいと思った。
by akikonoda
| 2006-10-08 21:50
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