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あめりか・いんでぃあんの口承詩



図書館から昨日借りてきたあめりか・いんでぃあんの口承詩(平凡社 金関寿夫)の本があった。

読みながら、自分の目指しているものに近いと思った。

文学というカテゴリーを軽やかに越えて、生活の中に折り込まれた生の歌として、自分の中に、すうっとはいってきた。

これが本当にねいてぃぶの方々の音、言葉、歌を通して聞けたらいいのであるが。

まだ、口承の詩を後の世に残すのに、まにあうのだろうか。



おれは空のうえを
歩いている。
鳥に
おれはついてゆく

(チッペワの夢の歌)



春が 来かけている
白い草から かぐわしい匂いがただよってくる
踊りにつかう 白い草から

(マンダン族の「春の歌」)



 風の歌

海の下に 洞穴があって
あらゆる風は そこで生まれるのだ
かれは海の下からやってきて 太陽のない高みにまで登ってゆく

もう一つの洞穴の口は なめらかで すべすべしていて
まるで氷のように 固い
かれはすっくと立って 腕を伸ばす
するとかれの一本一本の指から 風が起る

はじめに 白い風
つぎには 赤い風
それから 青い風
そしてかれの小指からは 黒い風が吹き出す
こいつがいちばん強い風だ

白い風は 北から吹いてきて
とても熱い
青い風は 南から吹いてくる
赤い風は 日中 西から吹く
そよ風だ
黒い風は 山脈の向こうから吹いてきて
どの風より いちばん烈しい
つむじ風は 東から
吹いてくる
by akikonoda | 2007-04-05 20:08
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