人気ブログランキング | 話題のタグを見る

宇宙空間



2007/06/25
 現在、国会で宇宙基本法が審議されている。法案は1969年に宇宙開発事業団法が国会を通過した際の衆参両院採択による平和利用原則の国会決議の変更を迫るものである。具体的には、従来前の法解釈では「非軍事」とされてきた日本の宇宙利用が、宇宙基本法が制定されることで「非侵略」へ解釈変更がなされる。政府の説明では「非侵略」が今最適なスタンダードであり、安全保障目的での宇宙空間の利用を解禁することは妥当とされている。しかし、安全保障目的の宇宙利用を解禁し、日本の宇宙における軍拡への道をひらくことは正しいことなのであろうか。

 確かに先進国の宇宙開発における軍拡は、とどまるところなく進んでいる。経団連によると、日本の宇宙開発予算は米国のNASAの6分の1に過ぎず、日本は宇宙開発の十分なマーケットシェアが確保できていない。そのため、宇宙産業の競争力強化のため、宇宙基本法を制定し、軍事利用を含めた予算の拡充が求められている。

 しかし、それであっても巨額の財政赤字を抱える中で、米国や他の先進諸国と同程度の予算確保を実施することは至難の技であり、宇宙開発競争における日本の立ち位置から見れば焼け石に水の状況ではないか。特に防衛分野における日本の出遅れは、憲法9条など様々な制約が存在しているため、今後も挽回するためのハードルが非常に高い。

 日本はあえて宇宙空間における軍事目的の活用という方向性を修正し、あくまで民生利用、そして宇宙空間の平和利用に向けて旗振り役に立場を変更したほうが賢いように思われる。宇宙における民生利用の観点から予算の選択と集中を図りつつ、宇宙空間における軍拡を抑制し、安全な宇宙空間の利用方法の確立を図ることこそが、日本の生きる道であろう。

 国連軍縮会議において、日本政府による新たな宇宙軍縮のイニシアティブの提出、その主導権を握ることが戦後60年の平和を築き上げてきた国家としてのあるべき姿ではないか。

(木村優介)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


うちゅうの空に電子のつぶてとぶ こっかもなく かっこもなく  
by akikonoda | 2007-06-25 11:57
<< 子供の為の詩のボクシング 独逸の列車 >>