バグダッド(CNN) イラクの首都バグダッド市内で9日、治安要員の車列から乗用車への発砲があり、イラク人女性2人が死亡した。イラク内務省は、車列がドバイに拠点を持つオーストラリア企業ユニティ・リソーシズ・グループ(URG)のものであることを明らかにした。
米国務省によると、URGは米国際開発局(USAID)からイラク復興事業を請け負っている非政府組織「リサーチ・トライアングル国際研究所」(RTI)の警備を委託されている企業。プリディンURG社長は声明を発表し、これまでの調査の結果、乗用車が手信号などによる再三の警告を無視して車列に急接近してきたため発砲した、と述べた。URGはイラク当局と連携し、事件の対応にあたっているという。
イラク内務省の報道官によると、URGの車両4台はカラダ地区付近から、バクダッド市内中心部の国立劇場に向かっていた際、乗用車に発砲し、乗っていたクリスチャンの女性2人を死亡させた。女性は30歳と32歳で、19発銃弾を受けていたという。
RTIの広報担当者は、事件への関与を否定。URGの車両が事件当時、RTIスタッフの搬送を終えて拠点に戻る途中だったと述べた。
URGはイラク内務省に謝罪を表明し、死亡した女性2人の遺族に対する賠償や、事件の調査結果を踏まえたうえで従業員の処分に取り組む姿勢を明言した。URGは同省に事業登録した企業で、業務上の違反歴はない。同省とURGは事件の解明に乗り出している。
イラクで操業する民間警備会社をめぐっては、米国企業ブラックウォーターUSAの発砲事件が問題化したばかり。イラク政府報道官はURGの事件について、無実のイラク人に対する過剰な実力行使の新たな例だとコメントした。