(毎日新聞 - 01月28日 02:43)
外務省所管の独立行政法人「国際交流基金」が、秋山直紀専務理事(58)が実務を取り仕切る「日米平和・文化交流協会」に対し、領収書など支出を裏付ける文書の提出を受けないまま、毎年助成金を支給していたことが分かった。基金を巡っては、協会の訪米事業で予定より参加者数が減ったのに、差額分の返還を受けていなかったことが判明している。基金のチェックの甘さが、こうした不適切な受給を助長してきたとみられる。 助成金は、主に国からの運営費交付金(06年度133億8890万円)で賄われ、基金が希望団体から申請書を受けて審査。支給決定後、経費や助成希望額などを書いた計画書を受け取り、金額を決めて前払いする。 協会に対しては、日米の国防関係者が交流する「日米安全保障戦略会議」(02年度までは別呼称)に絡み、97年度から助成金を支給。03〜07年度の支給額は500万〜100万円だった。 今年度の計画書には、航空運賃が国会議員ら計12人分で1169万円、通訳1人への謝礼金が11日分で110万円と記載。助成金を支給するのは航空運賃についてはエコノミークラス分、通訳謝礼は規定額以下と定められているため、これを基にそれぞれ344万4000円、55万6000円の計400万円が助成希望額とされ、基金は満額を認めて前払いした。 会議実施後、協会から提出された報告書には、参加者数は9人で航空運賃711万5380円、通訳謝礼は12日分189万円と記載。計画とは異なるが、参加者は一部を除き匿名で、領収書は添付されていなかった。 同基金は「参加者全員の名前が分からず、最近になって報告を受けた。領収書の提出は求めていないが、会計検査院の検査も受けており問題はない」としている。しかし、協会以外の団体に総額約95億円(06年度)の補助金を支給している「日本自転車振興会」の場合は、領収書提出を義務付け、領収書受領後にしか補助金を支払わない「後払い方式」となっている。 ◇国際交流基金 72年に発足し、日本語普及や日本文化紹介などの事業を行っている。06年度の会計規模は約176億円。海外18カ国に拠点があり、役職員数は230人(昨年10月現在)。理事3人のうち2人が外務省と財務省のOB。助成対象事業は(1)文化芸術交流(2)海外での日本語教育(3)日本研究・知的交流で、日米平和・文化交流協会には(3)を適用している。 ◇参加者の明記必要 国家財政に詳しい国立大学財務・経営センターの山本清教授(公会計論)の話 助成金の原資が税金など国のお金である以上、少なくとも誰が参加したのか分かるよう提出書類に明記させるべきだ。領収書も証拠書類として提出させる必要がある。 ■日米平和・文化交流協会が国際交流基金から受けた助成金■ 年度 助成額 参加者数 内 訳 03 500万円 12(11) 航空運賃、宿泊費、通訳費 04 400万円 25(11) 航空運賃、宿泊費 05 400万円 19(11) 航空運賃、宿泊費、会議費 06 100万円 − 通訳費 07 400万円 9(12) 航空運賃、通訳費 ※参加者数のカッコ内は申請時の人数。06年度は国内で実施したため、参加者向けの助成がなく参加人数は不明
by akikonoda
| 2008-01-28 12:09
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