さびあるよ。 おまえもアシュランを知ったついでに、このことも知っておいたほうがいいだろう。 この前、何百年と続いている老舗の和食屋がつぶれたろう。 産地を偽装したとか、残飯を再利用したなどと騒がれていたやつだ。 ああ、はい。 おぼえています。 うちにも調べがこないかと内心ひやひやしてました。 つかいまわしは、おてのものですから。 まあ、そういうことはさておきだ。 あれはな。 アシュランやその向こうに控えている白々しい人たちが、あの店の跡地がほしかっただけだということを、さびある派の長老はおっしゃっていた。 なんといっても一等地で、利便性に優れている良い場所だし、和食の権威だからね。 世間にはあまりよいとされない噂を流すだろう。 それからとことん地におとしめ、困っているところを乗っ取っていく。 彼ら、彼女らにお金や食を提供しない、わるい奴らだと言ってね。 自分たちは、そうやって土地を安く買いたたいて、都会の一等地に店を出していくのだよ。 うちも、比較的、良い場所にはありますからね。 彼ら、彼女らに狙われていたと言う事なのでしょうか。 まあ、その可能性はある。 つぶされた次に店を構えるものをよおく見ておけよ。 彼ら彼女らが、その奥で動いて絡んでいる可能性は、格段に高いのだということを知っておいてもわるい事ではないしな。 彼ら彼女らは、次なる目標を定めて、この店やこの周辺の下調べをしに来たと見えない事も無い。 彼ら彼女らは、リサーチが好きなのさ。 調べて調べて、穴を探しているのさ。 うちの店なんて、穴だらけですからね。 追い返すなんて、おじさんは、さすが先見の明がある。 まあ、そういうことだ。 穴を隠すのに、力を割いている余裕など、うちには無いのだ。 しかし、ああいった店は、単価がかなり安いので、あまり、もうけには繋がらないのではないですか。 更に上を行く安さで、先物取り引きと言うものでただで、いやただというより異常に市場でもうけるように操作した後に、買い占めているから、大丈夫と言う訳なのさ。 色々、便宜を図ってくれる、上のものや、裏のものがいてね。 税金等は、払わなくていいように、ちゃんと手はずは整えているし、交通費も自分たちの息のかかった交通網をはりめぐらして、その費用や労働力を払うのは、関わっていない一般の人たちというわけだ。 それを食べる人の健康の安全性というよりももうけの安全性をとるのが彼ら、彼女らのやり方なのだ。 たとえばだ。 機械化された大農場でつくられた農薬まみれのジャガイモのことは世間でも良く言われる事だがね。 更に輪をかけて、放射能をあてて芽がでないようにした究極の保存食のばけものになってしまったジャガイモなども、つくられているというから、長老達に聞いたときは驚いたものだよ。 おれたちよりも、食の神様に、近いとさえ言えるかもしれない。 時間を先延ばしにしたりできるなんて、ある意味、神様みたいなものじゃないか。 短い時間しかかけずに、カラッと揚げて、 おまたせしました。 と、にこやかに笑って手渡されたものは、一般の普通のものよりも腐りにくく、存在時間を先延ばしにされた代物なのだ。 そうして、腐りにくい、同じ店がどんどん増殖されて、もうけの安全性は更に増していくと言う訳なのさ。 おれとしてはね。 産地の偽装の事件よりも、放射能を浴びて成長を抑制された美しいまま保存が利く干涸びないミイラとなった代物を、にこやかに人形のようなまなざしで、コマーシャルに出てくるような、美しい娘に差し出されている事態の方が、受け取りがたいものなのだ。 にこやかに、 死んでください。 と言われているような気もしないかね。 お前に言わせれば、おれだって同じようなものだろうがね。 店のがりに手を付けようともしない客もおおいのでね、しょっちゅう、使い回しているが、あれは、きっちり、酢や砂糖でしめたものだから、放射能なんていらないがね。 いいかげんにしてくださいよ。 おじさん。 つかいまわしもほどほどにしてくださいよ。 それも、本当かどうか、ぼくは確かめにいきたいのです。 市場を司るという長老達は、一体、どこまで、そういった実態を知っていると言うのですか。 俺も実際よくわからないのだ。 それにしても、もったいない話は、まだまだ、つきない。 人の金を使い回して、経費で落としているものたちに食べさせるなんて、もったいない。もったいない。ああ、もったいない。 レシートさえあれば、何でも、経費で落としてしまうことができる世界に生きているものには、ぴんとこないことだろう。 ああ、もったいない。 罰当たりものたちだ。 レシートを切るだけで、ぼくには、ちっとものこらないので、もっと、ピンと来てない気もしますがね。 もったいないのも、よくわかりますがね。 おじさん。落ち着いてください。 なんだか、いつもより、ちょっと変な感じですよ。
by akikonoda
| 2008-06-03 08:18
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