中司達也氏のブログより
http://blog.goo.ne.jp/leonlobo2 権力を強化するFRB [ 時事・評論 ] / 2008年06月10日 12時23分31秒 いまだ、サブプライム問題で揺れる続ける金融機関は、いまリストラ真っ最中のようだ。アメリカの金融機関だけで、今後1年から1年半のあいだに15万〜20万人に上るだろうという予想さえある。金融機関は生き残りに必死の構えだ。 本来なら、こうした金融機関はすべて破綻していたはずだ。 サブプライム問題が発生して以降、無数の論者が「世界恐慌」を予測した。それは、決して大げさではなかった。2001年にすでにこの事態を予測していたエコノミストもいる。アメリカの資産バブルはFRBの意図的な政策であり、したがっていずれ崩壊させて、世界的大混乱を引き起こすことは確実だ、と述べている。 サブプライム問題が発生して以降、欧州、南米、アジアの株式市場は下落もしくは暴落した。金融市場は硬直化し機能不全に陥った。そのまま世界恐慌に突進するはずだった。それは自然の成り行きではなく、周到に仕組まれたものだから失敗はありえない。過去の事例がそれを物語っている。 一九二三年の上院公聴会で、ユージーン・マイアー・ジュニアは、農業 および家畜手形に対する金利を七パーセントに引き上げた連邦準備制度理事会の行動の基本的理由を、次のように的確に指摘した。 「もし、資格のある多くの非会員銀行が連邦準備制度の会員であったなら、多くのトラブルが回避されたと私は信じます」 マイアーのこの指摘は正しかった。理事会の行動の目的は、連邦準備制度によって打ち立てられた銀行家たちの支配に、自由を放棄することを断固として拒絶したこれらの州法銀行[州法により設立される銀行]および共同土地出資銀行(joint land stock bank)を破壊することにあった。 p280 『民間が所有する中央銀行』ユースタス・マーリンズ著 連邦準備制度というわが国の中央銀行が設立されたのちには、銀行が通貨を創造することができたので、金融恐慌の必要はもはやなくなった。 しかしながら、事業および金融社会に対する権力の道具として、恐慌は二度の重要な局面でふたたび利用された。 その一つは、州法銀行や信託会社が連邦準備制度に加盟することを断ったためにひき起こされた1920年の農業不況であり、もう一つは、この国のほとんどすべての権力を少数の強大なトラストの手の中に集中するために引き起こされた1929年の大恐慌である。 p299 同上 FRBは必要に応じて恐慌を引き起こすことができる。景気を過熱させてバブルを発生させ、そのあと崩壊させるのだ。恐慌を消息させ、景気を回復するのも簡単なことだ。FRBはほとんど自由自在なのだ。 今回のFRBの目論見もほとんど成功しかけていたように思う。FRBが打ち出すサブプライム対策は見せかけにしかすぎず効果が期待できるはずがなかった。金融界は対策が不十分だと苛立った。 しかし、結局、恐慌にはいたらなかった。FRBは途中で方針を転換したようだ。破綻した大手証券ベア・スターンズを、本来、管轄外のFRBが救済した。JPモルガン・チェースを使った迂回経路での救済という異常ぶりだ。ベア・スターンズを破綻させれば、金融パニックを起こす引き金になっただろう。なぜ、途中で計画を変更したのだろうか。ひとつ言えるのは、もし恐慌が起これば、アラン・グリースパンはただではすまなかったであろうということだ。 グリーンスパンはFRB議長時代は、金融の神様と崇められ、アンタッチャブルであり、絶対不可侵な存在だった。その言葉は神秘につつまれ、金融関係者は暗号を解くように解読を試みた。そして、グリーンスパンもそれを巧みに利用した。自分の眉の動きひとつで市場は右往左往した。市場はたやすく罠にはまった。 グリーンスパンは2006年に引退した後も、自分の神通力が市場で通用すると思っていたのだろう。18年間インチキはばれなかったのだから、サブプライム問題で揺れる金融界も煙に巻けると。しかし、引退すればただの人だった。サブプライムの責任はグリーンスパンにあるのではないかという批判が各方面から起こった。まさかの批判にグリーンスパンは言い訳に終始したが、ただの子供だましにすぎなかった。誰が見てもグリーンスパンの有罪は間違いない。 グリーンスパンは最後に大きなヘマをしたが、もし、グリーンスパンが火達磨になれば、FRBの権威も失墜してしまう。グリーンスパンというより、FRBの権威を守らなければならない。そのためにはサブプライム危機を収束させ、グリーンスパンへの責任追及を止めるしかない。FRBが安泰であれば、恐慌はいつでも起こせる。結局、今回の恐慌は途中で消火された。しかし、今後に備えた体制強化は行うつもりのようだ。 いま、米財務省は金融監督体制の見直しを行っている。つまり、FRBの権限強化だ。金融危機が発生したのは、FRBの権限が限定されていたためであり、危機の再発を防止するためにはFRBの権限を強化する必要がある、という理屈だ。しかしこれは、放火犯にガソリンと火炎放射器を進呈するようなものだ。もちろん、ポールソン財務長官はそんなことくらい承知している。彼らは仲間にすぎない。 3月31日にポールソン財務長官が発表した改革案は、明確にFRBの権限強化をうたっている。FRBに直接関連する項目を見ると相当な強化と言える。 <金融監督体制改革案概要> 同改革案は、銀行、証券、投資、保険会社を規制するシステムの合理化を目指し、全面的な見直しを行う。主な改革点は、連邦準備制度理事会(FRB)の監督権限の強化。FRB は市場の安定を監視する保安官の役目を担うよう期待される。 短期目標 ★FRBの権限拡大 FRBによるノンバンク(預金業務を行わず貸付業務だけを行っている金融機関)への監視および規制を強化する。 中期目標 ★州法銀行をFRBかFDICいずれが監視すべきか検討 ★ 資金決済システムにつきFRBが監督権限を持ち、監督基準を策定 長期目標 ★ FRBに市場安定を目指した監督機関としての役割を追加 住宅ローン貸付機関、銀行、保険会社、投資銀行、ヘッジファンドなどを 含む金融システムの安定を監視。金融市場の安定が脅かされた場合の み是正措置を求めることができる。 連銀貸出を通じた「最後の貸し手」機能を強化。 以上、抜粋。 https://reports.us.bk.mufg.jp/portal/binary/com.epicentric. contentmanagement.servlet.ContentDeliveryServlet/Internet/ Reports/RD/Public/Production/BTM-WDCINFO%202008-No.011.pdf この改革案がすべて実現したとすれば、FRBはアメリカのほぼすべての金融機関を掌握することになる。FRBの権力強化が意味するものは、これまでとは比べ物にならない危機が創出可能になるということだ。使用しない権力を得ようとする者はいない。権力を求めるのは、それを行使するためだ。もちろん、今後どのような金融危機が発生してもFRBがその責任を取ることはないだろう。 金融危機が発生するたびに、金融機関は淘汰され、統合や集中化が進んできた。しかし、まだまだ不十分なのだ。これからも危機を利用した金融の寡占化は進められていくだろう。いずれ世界の金融は、ほんの数行の銀行にコントロールされてしまうのかもしれない。世界の石油は一世紀も前から一握りの欧米の石油企業に独占されている。世界の穀物市場も数社に独占されている。最後の仕上げが世界金融なのかもしれない。 FRBが実際にどれだけの権力を掌握するかは、まだ未知数だが、FRBが権力を強化したあとに発生する金融危機は史上最悪になるだろう。規制・監督しなければならないのは、銀行や証券会社ではなくFRBそのものだ。 〜〜〜〜〜〜〜〜 どう考えても、「FRB」がなくなれば、今のように振り回されることは押さえられ、今よりはまともな世界になりそうである。 あまりにも余計なものを付加し過ぎのようである。 世界の殺し屋でなくて、世界の保安官なら、それぐらい、いとも簡単にできるであろう。 今の世界の不安定化の責任の大きなところに「FRB」が少なからずある。 「FRB」は神殿ではなくなったのである。 すでに崩される時期に来ている。 もともとは無かったものである。 どさくさにまぎれてつくられた、錬金術の談合なのである。 崩されたほうがいいのは、個人個人の人格ではなく、金儲け主義のほうである。 試しに「FRB」の制度を、廃止してみるとわかるだろうが、金儲け主義の泡だらけは消えて、それぞれの国をなるべく尊重しようとする動きも、すくなからず出来てくるのではなかろうか。
by akikonoda
| 2008-06-24 11:26
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