古本屋で、なぜか、目にとまり、無性に気になった、 五輪書 (宮本武蔵 渡辺一郎校注 岩波文庫)と 宿命 〜「よど号」亡命者たちの秘密工作〜(高沢皓司 新潮文庫)と、 独逸詩 亜米利加詩の本等 を手に入れて、それぞれ読み進めていた。 とりあえず、もっとも入りやすく書きやすいと思われる、「五輪書」の覚え書きとして。 おりんぴっくの「五輪」つながりで読んだと言うよりも、子どもが、剣道の大会で、武蔵杯や小次郎杯なるものがあるので興味を持ち、素朴に、武蔵の言うところの二刀流とはなんぞやということを聞いて来たので、とりあえず、心もとないが、ご本人の書いたと言われるものを読むしか無いので、、、たまたま、古本屋にあったので、手に入れた次第である。 新渡戸稲造的「武士道」は、生き様なるものや、そのそこに流れているものを、キリスト教的文脈に出会わせた後に稲造的に解釈したもので、あくまで内面を重視したものであったと思われるが、それまでに積み上げられて来た、あらゆる身体を通して培われていったもののひとつとして、「五輪の書」を読むのも、また、その流れの中で見えてくるものがあるかもしれないとも思われた。 五輪の書は、地(四角)からはじまり、水(丸)、火(三角)、風(半円)、空(たましい?あるいは火が燃えているような形)の巻からなるが、剣豪 宮本武蔵の死後にバラバラであったものをゆかりの者が編集し直したと言う。 地の巻においては、 兵法といふ事、武家の法なり。 〜大形(おおかた)武士の思う心をはかるに、武士は只死ぬるといふ道を嗜む事と覚ゆるほどの儀なり。〜 といった兵法を踏まえた武家、武士の心構えから入る。 肝心の「二刀流」については、 二刀と云出す所、武士は将卒ともにぢきに二刀を腰に付くる役也。 昔は太刀(たち)・刀といひ、今は刀・脇指(わきざし)といふ。 武士たるものの此両腰を持つ事、こまかに書顕はすに及ばず。 我朝において、しるもしらぬも腰におよぶ事、武士の道也。 此二つの利をしらしめんために、二等一流といふなり。 ということであった。 水の巻においては、 兵法の心持、身なり、目付、太刀の持ち用、足使い、五方の構え(上中下段と右、左か前の五つ)、太刀の道、等。 無念無想の打〜敵も打ち出さんとし、我も打ち出さんと思ふ時、身も打つ身になり、心もうつ心になって、手はいつとなく空より後ばやにつよく打つ事〜 流水の打〜敵相になりてせりあふ時、敵はやくひかん、はやくはづさん、早く太刀をはりのけんとする時、我身も心も大きになって、太刀を我身のあとより、いかほどもゆるゆると、よどみのあるやうに、大きにつよく打つ事也〜 火の巻。 二刀一流の兵法、戦の事を、火におもひとって、戦勝負の事を書き表す。 よく云われている、「場」の次第について。 巌流島での太陽を背にした戦い方に通じるものであり、部屋にいる時もまた、いつ何時も、戦えるように場をつくるということ。 いわゆる場をわきまえて、相手を見て、戦いを作っていく実践的なもの。 風の巻。 兵法、他流の道を知る事。 大きなる太刀をこのむ流あり。〜小次郎の事であろう〜 他流の足使いある事として、面白かったのが、 足運びにからす足と言うものであった。 その意味は不明で、利き足か?という注釈があった。 「鴉」なのか「枯らす」なのか「嗄らす」あるいは「狩らす」なのか等と一瞬考えてしまったが、この言葉の直前に、 ふみつむるあし(踏み詰める足、踏みつけて、動きのとまる足)、 とあるので、そのイメージからして、鴉のようにくっとどこかに爪を立てているような姿を想像したりして、その足さばきからして、いろいろ、考え尽くして行こうと言う気構えが、言葉と足運びの分類の細部に反映されていく様を、見た気がした。 空の巻。 空といふ心は、物毎のなき所、しれざる事を見たつる也。 勿論空はなきなり。ある所をしりてなき所をしる、これすなわち空也。
by akikonoda
| 2008-08-14 09:10
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