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ユング

C・G・ユングの秘められた日記が甦る『赤の書 The Red Book』

C・G・ユング[著] 河合俊雄 [監訳]

発売記念特別価格37,800円(税込)
=2010年9月末まで。
以降定価42,000円(税込)

田中康裕、猪股 剛、高月玲子 訳
A3 上製 予464頁


*監訳者のことば

ユングは第一次世界大戦前から、精神病的な恐ろしいヴィジョンを体験した。その後は、むしろ積極的にイメージを呼び起こして、記録していく。この『赤の書』は、その記録と、それについてのユング自らの解釈から成り立っている。存在が知られていながら、秘密に包まれていた本書を読み、見ることができるのは大きな喜びである。これは、後のユングの思想全てをいわば生の形で先取りしていて、個性化の過程をはじめ、ユングが理論的に書いていたことも、ほとんど全て自分で体験したことに読者は驚かされるであろう。キリスト教の神の再生という課題が目立つようであるけれども、むしろ生け贄と死者の贖いという人類の魂の古層に届いている本である。

京都大学こころの未来研究センター教授 河合俊雄

*目次

略字表 (凡例)
序文 『新たなる書:C.G.ユングによる赤の書』
ソヌ・シャムダサーニ
凡例 (編集にかかわる注解)
ソヌ・シャムダサーニ
第一の書
プロローグ 来るべきものたちの道
第1章 魂の再発見
第2章 魂と神
第3章 魂への奉仕について
第4章 荒野
荒野での体験
第5章 前途へ向けての冥界降り
第6章 精神を引き裂くこと
第7章 英雄の死
第8章 神の宿り
第9章 神秘。出会い
第10章 教え
第11章 解放
第二の書 さまよう者のイメージ
第1章 赤色
第2章 森の中の城
第3章 卑俗なる者の一人
第4章 隠者。第一日
第5章 第二日
第6章 死
第7章 初期の教会のなごり
第8章 一日目
第9章 二日目
第10章 ここに、受肉がはじまる
第11章 卵を割る
第12章 冥土
第13章 生け贄の殺害
第14章 神の愚行
第15章 第二夜
第16章 第三夜
第17章 第四夜
第18章 三人の預言者
第19章 魔術の才
第20章 十字架の道
第21章 魔法使い
試練
結語
付記A.解説  
付記B.1916年1月16日の箇所に関する『黒の書』からの記載
付記C.付録図
謝辞
C・G・ユングの非公開の書がついに公刊。

16年余りの長きにわたり、ユングが私的な日記として自ら手書きで緻密に書き綴った『赤の書』。そこには、その後のユング思想の中核となるものがすべて記されていた。しかし、さまざまな理由から『赤の書』は黒いトランクに入れられ、スイスのとある銀行の金庫の中で半世紀近くのあいだ眠りつづけることになったのである。その伝説の書物が、2009年10月、ようやく日の目を見ることになった。 細かな部分まで丁寧に描き込まれた大小さまざまな極彩色の美しい絵の数々、綿密な構成のもとに、ページぎりぎりまでびっしりと書かれたカリグラフィーの文字。さながら「ケルズの書」のような聖書の豪華装飾写本を思わせるこの書を、現物と同じ大きさのまま、日本語訳を付してお手元にお届けします。

*本書の特徴

世界数カ国で翻訳出版

英語版、ドイツ語版、日本語版のほか、世界数カ国で刊行予定。

134点の美しい絵とカリグラフィー

大判のページいっぱいの絵が53点、カリグラフィーの文字の合間に驚くほど精密に描き込まれた大小の絵が81点含まれる。オリジナルの美しい色合いを忠実に再現するため、カラーページはすべて、優れた印刷技術を誇るイタリアのモンダドーリ社で印刷。

圧倒的な絵の迫力

通常の意識状態からは想像もつかない無意識のエネルギーの奔流。ユングが自己実験と呼んだ《無意識との対決》のなかで、この『赤の書』は書かれた。ここに描かれているのは、まさにわれわれの想像を遙かに超えた、人間の無意識の深遠なる未踏の世界の姿である。

研究者必携の貴重な資料

本書には、ユング思想の中核をなす「元型」「普遍的(集合的)無意識」「個性化の過程」など、その後に展開されたユング心理学の主要な概念の起源がすべて含まれている。ユングの提示する新しい心理療法のモデルを理解するための、決定的に重要な一次資料と言える。

文学、美術、宗教などへの大きな影響

本書の内容はきわめて文学的な形式をとっており、かつあらゆる芸術領域や、魂の救済を説く宗教領域の人たちにも多くの示唆とインスピレーションを与えてくれるだろう。

*推薦の言葉

梅原 猛(哲学者)

この『赤の書』には、鮮烈な色彩が溢れ、
抽象的で象徴的な形体が、飾り文字にまで氾濫する。
ユングはやはり言語的思索者ではなく、
イメージの思索者なのである。
しかもその言葉はニーチェのツァラトゥストラにも並び、
現代人の自己との対話を紡ぎ出す。
ニーチェがキリスト教徒及びその歴史観と対決し、
現在に充溢する力を意志したように、
ユングは地獄の修羅へと下降しながらも、
恍惚としてこの現在に帰ってくるのである。

中沢 新一(人類学者)

第一次世界大戦は、ヨーロッパの知性に計り知れない衝撃と動揺を与え、その中から、芸術や文学や思想の分野に、20世紀を代表することになる驚異的な作品が、いくつも生み出された。その戦争によって、人々は文明や魂の根源にまで降り立っていく探求に向かうことを、強いられたのだ。ユングの『赤の書』も、そういう時代の不安の中から生まれた。しかし、ユングの試みた探求は、他の知識人たちのそれをはるかに凌駕して、根源的だった。彼は文明によって押し隠されてきた意識のベールを引き裂いて、人類の心を裸に剥き、矛盾沸騰する原初の心の深みに、深々と降りたっていった。ここでのたうち回っているのは、ユングという個人を超えた、集合的な人類の心そのものなのである。

萩尾 望都(漫画家)

人の心は深い海のようだ。
その無意識の深層に、ユングはどこまでも潜って行く。
私とは何者か。魂とは何か。
繰り返されるヴィジョンと夢のなかで、ユングは考える。何日も。何年も。
冷静な知性と輝く熱いエロス。
その謎と答えを求め、誰も知らない水底の地図を描いていく。
その地図が、ユングの『赤の書』だ。
ひとりの人間の、世界と魂の物語だ。

横尾 忠則(美術家)

ユングがある日、『赤の書』を綴っている時、
女性の声を耳にした。
「あなたの行っているのは科学ではなく芸術なんですよ」。
するとユングはこの声に憤りを感じて
その声に言い返したという。
「これは芸術ではない、これは自然なんだ」
と言った言葉がずっとぼくは気になっていた。
そんな『赤の書』が出版されるという。
この書の中に掲載されているユング自身の手による
多くの大型サイズの絵(ビジョン)を
目にすることができるかと思うと一刻も早く手にしたい。

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これはこれは、うれしい事です。
この時期に読める事になるとは。
さすがゆんぐです。
by akikonoda | 2009-12-09 21:48 | 記憶
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