大麦栽培の起源は複数 新石器時代、イランなどでも 米大学解明
FujiSankei Business i. 2007/2/16
パンやビールなどの原料として重要な大麦はこれまで、新石器時代に中東のシリアやパレスチナ付近で最初に野生種が農業栽培され、世界各地に広まったと考えられていたが、東へ1500〜3000キロ離れたイラン・ザグロス山脈の東側でもその後に数回、野生種の栽培化が起きた可能性が高いことが分かった。
米カリフォルニア大の研究チームが15日までに世界の野生種と栽培種のDNAを分析・比較して解明した。論文は近く米科学アカデミー紀要電子版に掲載される。
現在、欧州や北米で生産されている大麦品種は、遺伝情報の9割を最初の栽培種から受け継いでいるが、イランから中国にかけて生産されている品種はこの2回目以降の栽培種が起源という。研究成果は農業の成立過程の解明や品種改良に役立つとみられる。
地中海に面したシリアやパレスチナの新石器時代の遺跡では、約1万500年前の最古の大麦栽培の証拠が残っている。
これに対し、パキスタンのインダス川流域の遺跡では約9000年前、トルクメニスタンのカスピ海東岸の遺跡では約8000年前から大麦栽培が始まっており、考古学的な観点からも野生種の栽培化が別々に起きたと考えられるという。
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食も人も遺跡も時も、繋がっていくことを感じることができると、戦争などにうつつをぬかして、やっきになっているよりも、そういう広がりや繋がりをもっと知りあった方が、それぞれの生活を生きながらも、どこかで繋がっているという気持ちがしてくるので、なんだか、ほっとする。