花瓶の水がこぼれるまで



夜のことです

白百合の香りと
黄色い花粉と
闇にとけ込んだ水が
眠りに落ちるように
うなだれるように
花瓶から
ちろちろとながれていきした

わたしは
なんども
くりかえし
その瞬間を
夢見ているようでした

夜の水が流れていく

そう思いました

床をはいながら
乾くこともなく
夢の中で
なんども 
なんども
こぼれていくようでした

そうして
花瓶の水が
こぼれ終わるまで
じいっと
みていたのでした

夜の闇を吸う水に
ひたひたとつかる
ほの白い百合は
眼を見開いて
しみずに浮かぶ
ひとりの老女のようでした
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by akikonoda | 2007-05-10 12:36
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