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又一さんの話



又一さんが帰って来たのは

死ぬ前やったげな

亜米利加のユタに逃げていったって

としえさんがうまれたばっかりのときに

逃げていったげな

そこで

なにをしとったのかね

よおくわからんけどね

あーみっしゅのひとたちにでも

くわわっとたんかいな

なんて

思うと

なんだか

明治の話も

ひとりで動き出してね

海を渡るんよね

ちょうど

アメリカ地獄めぐり*

という本を

手にいれたばかりだったので

もしかして

そこいらをめぐっていたのかもしれんなと

妄想一人歩きしとったと

ぶたとにんげんの息が混じり合った瞬間を見て

にんげんの男が女をころしてしまう話とか

べんきにすわって

よのなかのことを話し合う話とか

みんな

話になっていくんやけど

であってもであっても

また

であってね

話はまだつきないみたいなんよね

この世が終わっても

はてたはなから

話が始まるんやろうね

又一さん


*寺山修司評論集
by akikonoda | 2007-10-15 11:57 |
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