アフガニスタン東部ジャララバードで26日、非政府組織「ペシャワール会」(福岡市)のスタッフが拉致された事件で、反政府武装勢力「タリバン」の報道官は毎日新聞の取材に対し、同勢力の犯行であると主張した。真偽は不明だが、現地では地元武装グループがタリバンと連携を保って活動しており、拉致はタリバンに関連したグループの犯行との見方が出ている。【斎藤良太、ニューデリー栗田慎一】
同会と外務省邦人テロ対策室などによると、スタッフは静岡県掛川市出身の伊藤和也さん(31)。26日午前6時(日本時間同10時半)ごろ、アフガン人運転手とともに、銃で武装した4人の男に拉致された。警護スタッフはいなかった。身代金などの要求はないという。 ペシャワール会によると、伊藤さんは他の日本人スタッフ4人とともに、ジャララバード北方約30キロのダラエヌール渓谷の診療所を拠点に、農業支援をしていた。拉致現場は診療所の南東1〜2キロに位置し、試験農場のあるブディアライ村付近とみられる。 福岡市の事務局で記者会見したペシャワール会の福元満治事務局長は、4人組は反政府勢力ではなく現地住民で、住人同士のトラブルに巻き込まれた可能性がある、と説明した。 同会が現地スタッフから得た情報では、4人組は地元自警団に山に追い詰められ、その際に運転手は逃げ保護された。その後、約100人の村人が伊藤さんの行方を捜索したが、山に置き去りにされたとの情報や、4人組と一緒に行動しているなどの情報が錯綜(さくそう)している。 捜索は同日夜、日没でいったん打ち切られ、27日の夜明けを待って再開される見込み。福元事務局長によると、27日朝に伊藤さんの身柄が引き渡されるとの未確認情報もあり、自警団が指定された場所に向かうという。 一方、複数のタリバン関係者は毎日新聞に犯行を認めた上で、治安当局と銃撃戦となり、「死傷者が出た」と答えた。犯行の目的については、拘束されている仲間の釈放を求めるためだと説明した。 伊藤さんは同会のボランティアに参加し03年12月からダラエヌールでサツマイモや飼料用作物などの栽培支援をしていた。 毎日〜〜〜〜〜 情報錯綜 募る不安 アフガン邦人拉致事件 「早く本人と連絡を」 福岡市のペシャワール会 8月27日7時6分配信 西日本新聞 アフガニスタン東部ジャララバード近郊で26日、ペシャワール会(福岡市)のスタッフ、伊藤和也さん(31)=静岡県掛川市出身=が拉致された事件は、外務省の「解放」情報が直後に訂正されるなど、安否をめぐる情報が二転三転。福岡市中央区の会事務所の職員や実家の両親たちは、錯綜(さくそう)する情報にいら立ちを募らせながら、高い志を持った青年農業指導者の無事を、ただ祈った。 ■事務所、重い空気 「伊藤和也さん解放」。午後8時半すぎ、福元満治事務局長が事務所に集まった約40人の報道陣を前に、事件の経過を説明している最中、テレビを見ていた男性職員が大声で叫んだ。福元事務局長も一瞬、口元を緩めたが、「本人と連絡を取るまで分からない」。その不安が的中するように、間もなく解放情報は未確認だと分かった。「安否は不明でなお確認中だ」。福元事務局長は再び険しい表情で語った。 拉致情報が正午すぎに外務省に入って以降、ペシャワール会にはなかなか情報が入らない。「銃撃戦が繰り広げられた」「タリバンが犯行を認めた」との報道も流れ、事務所は重い空気に包まれた。 福元事務局長は、同会は昨年から現地の日本人スタッフを計9人に半減。夜間の外出はさせず、作業場と宿舎を行き来するだけの生活で秋までに大半を撤退させる予定だったことを説明。現地の治安悪化ぶりに懸念を隠せない。 中村哲現地代表も6月、福岡市で「現地の体制の大幅縮小を考えている。用水路、農業、診療の事業が全面的に一時ストップする可能性もある」「治安悪化の原因は、大干ばつによる深刻な食料難と、タリバン掃討作戦を進める米軍の相次ぐ誤爆による犠牲への怒り・反発だ。かつては日本人であるだけで命拾いしたが、今は日の丸がむしろ標的になっている」と語り、現地の治安情勢に危機感を募らせていた。 「伊藤さんは現地の住民ともなじんで、その活動は感謝されていた。現地の有力者が解放の仲介に立ってくれると信じている」。福元事務局長は、その言葉に力を込めた。 =2008/08/27付 西日本新聞朝刊= アフガニスタン東部ジャララバードで26日、日本の非政府組織「ペシャワール会」(福岡市)の伊藤和也さん(31)が拉致された事件で、地元警察当局などは27日朝から、犯行グループが逃げ込んだとみられる山間部の捜索を再開した。一方、拉致グループの一部は26日に拘束された模様で、地元警察は伊藤さんの行方や犯行の動機などについて追及する。 反政府武装勢力「タリバン」の報道官は毎日新聞に対し、同勢力による犯行と主張。現地では地元武装勢力がタリバンと連携を保って活動しており、伊藤さんを拉致したのは、タリバンに関連する武装グループとの見方が出ている。 ペシャワール会の福元満治事務局長(60)は27日午前、福岡市で会見し「26日から新しい情報は入っていない」と述べた。 同会が、26日夜までに現地スタッフから得た情報によると、伊藤さんを拉致した武装グループは、地元軍閥に山に追い詰められた。その際に伊藤さんとともに拉致されていたアフガン人運転手は逃げ出し、保護された。武装グループ4人のうち2人も拘束されたという。 しかし残る武装グループ2人と伊藤さんの行方はわからず、伊藤さんは山に置き去りにされたとの情報や、武装グループに連れ去られたとの情報もあるなど、錯綜(さくそう)している。 アフガンでは有力一族がそれぞれ私兵グループを抱えており、軍閥とは氏族の自警団に近い存在とみられる。 一方、現地スタッフによると、武装グループが27日朝に伊藤さんの身柄を引き渡すとの情報があり、軍閥が指定された場所へ向かうという。福元事務局長はこの情報について「確証はない」としている。 伊藤さんの安否を巡っては、情報が混乱した状態が続いている。26日夜、アフガン政府当局からカブールの日本大使館に「伊藤さんが解放された」との連絡があり、日本の外務省はペシャワール会などに対し「解放情報」を伝えた。ところが約1時間後にアフガン側から「解放は誤報」と連絡が入り、山本一太副外相が「解放は誤りだった」と訂正会見する一幕があった。 カブールの日本大使館からは27日午後、外務省職員がジャララバード入りし、情報収集に当たる。【斎藤良太、ニューデリー栗田慎一】 毎日〜〜〜〜〜〜〜〜 ペシャワール会 眠れぬ一夜、募る心労 中村代表 今夜現地へ 2008年8月27日 13:35 カテゴリー:アジア・世界 「ペシャワール会」(福岡市中央区)の事務局は27日も、拉致された伊藤和也さん(31)の安否に関する情報収集に追われた。ただ、拉致の一報から一夜明けても、新たな有力情報はなく、同会の福元満治事務局長(60)は記者会見し「昨晩は心配で眠れなかった。ご家族の気持ちを思うと、いたたまれない。とにかく生きていてほしい」と疲れた表情を見せた。 同会によると、現地では多くの村人が伊藤さんの捜索に協力。26日の朝から1000人以上が集まり、地元有力者らも一緒に犯人グループを追跡した。27日も夜明けから、村人や警察が数百人で誘拐現場の渓谷を捜索しているという。福元さんは「これまでの活動でペシャワール会を信頼してもらえた証しではないか」と語った。 また、タイ・バンコクにいる同会の中村哲・現地代表も、独自に情報収集を続けている。中村さんから事務局に入った連絡では、現地時間の27日朝(日本時間の昼ごろ)犯人グループが誘拐現場近くの村で伊藤さんの身柄を引き渡すとの情報もあるという。だが、福元さんは「不確かな情報で確証は持てない」と冷静に受け止めていた。 中村さんも27日夜には空路でパキスタンに渡り、陸路で現地に入る予定という。 現地情報では犯人は男4人組で、うち2人は身柄を拘束されたという。一部報道は、犯人はタリバンのメンバーと伝えたが、福元さんは「拘束された男は非常に興奮していたそうだ。訓練されてはおらず、タリバンではない気もする」との見方を示した。 =2008/08/27付 西日本新聞夕刊= 山本一太副外相は27日、外務省で緊急記者会見し、アフガニスタンで「日本人らしい男性の遺体が発見され、ジャララバードに搬送中との連絡があった」と発表した。 日本時間の同日午後2時すぎに、国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)とナンガルハル州知事事務所から駐アフガニスタン大使館に情報が寄せられた。大使館職員が身元の確認のため、現地に向かっている。 見つかった遺体が、拉致された非政府組織「ペシャワール会」(福岡市)のスタッフ、伊藤和也さん(31)であるかについて山本副外相は「細かい情報はない。大使館職員の現地入りを待って分析したい」と述べるにとどめた。遺体の発見状況など詳細は明らかにされなかった。 毎日〜〜〜〜〜〜〜〜 [シェワ(アフガニスタン) 27日 ロイター] アフガニスタン警察は、ナンガルハル州で拉致された日本の非政府組織(NGO)メンバーとみられる遺体を収容した。州知事がロイターに語った。 同知事は「男性は殺害されていた。警察が遺体を収容し、下山しようとしている」と述べた。 ナンガルハル州では26日、ボランティアの伊藤和也さん(31)が武装したグループに拉致されており、アフガニンスタン警察は27日、救出活動に乗り出していた。 州知事とアフガニスタン警察、および国際部隊は遺体が置かれているシェワに向かった。 反政府武装勢力「タリバン」は、伊藤さんの拉致に関して情報を持っていないと述べた。 ロイター〜〜〜〜〜〜 現場近くに男性遺体=「日本人」情報、大使館確認へ−アフガン邦人拉致 アフガニスタン東部で非政府組織(NGO)「ペシャワール会」(福岡市)スタッフの伊藤和也さん(31)が拉致された事件で、山本一太外務副大臣は27日、「現地警察からの連絡として日本人らしき男性の遺体を発見した」と述べた。国連アフガン支援派遣団(UNAMA)を通じ、カブールの日本大使館に連絡があった。情報の詳細については未確認としている。 外務省は同日、領事局の山本栄二参事官をアフガンに派遣する。 遺体はアフガン東部の都市ジャララバードに搬送される予定で、在カブール日本大使館員が同日午後7時ごろ(日本時間)、ジャララバードに到着、確認に当たる予定。(2008/08/27-17:14) 時事〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
by akikonoda
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