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映画「セキ☆ララ」と「Dear 平壌」を見て思ったこと

映画「セキ☆ララ」と「Dear 平壌」を見た。


両者とも在日の監督が、自らのルーツや有り様を巡り、それぞれのアプローチでドキュメンタリー映像化したものである。

前者は、男性の監督が撮ったからか、どこか若々しくも赤裸裸な形で、在日韓国あるいは北朝鮮国籍を持つ方や留学生として日本に来ている中国の方等のセックスシーンそのものを撮りつつ、そこまで裸になった人が何を思っているのかに焦点を当てたものであった。

最初に、日本人の俳優と交わる在日の女の子を追っていた。
この映画にでると言うことは家族には内緒と言う女の子は、一人暮らしをしたいからお金が欲しいと言う。
祖国と思われる朝鮮半島を尋ねることも考えていたと言う監督の意に反して、彼女は昔住んでいた日本のとある場所に行く方が、まだ自分の記憶を辿れると言うので、その土地を訪れる。
パチンコ屋さんをしていたという親御さんは比較的裕福だったらしく、昔暮らしていた団地を訪れた時、部屋数が多いとこに暮らしていたというが、友達というものはいらないし、自分の生い立ち等を知られたいとも思わないというような事を率直に、それこそ、赤裸裸に話す。

ぎょっとしたのは、その女の子を知らない誰か、例えば、自分のような見ず知らずの変な女が見ていたとしてもそれは自分には関係ない。とでも言うようなカメラの向こうと完全に隔たれた空間に、徐々に言葉を越えた妙な親しさのようなものが生まれていくのが感じられた時である。

何度も繰り返される赤裸々な愛交の映像の中に赤裸々なまま閉じ込められているという事に無頓着で無防備な「個」人的な肉体や声の感応が、ただ、そこに残ってしまうと言うような、なんとも荒削りで凄まじい映像であったが、在日であろうが何人であろうが、やる事は一緒と言う、言わなくても分かっているような事を、あえて目の前で見せつけられることで、

そんなに怖がる事はない、其処に肉体がある限り。

と言われているようでもあった。

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これが、もし姪っ子や息子だったら、どうすればいいのか、というあられもない気持ちが後からやってきた。

単なる妄想や、知らない人を映像で見て、比較的平気なのは肉体的重みがないからかもしれないが、こういう映像を見て、ぎょっとしながら、淡々と見ている矛盾が襲ってきたのである。

故飯島愛さんが台湾等で「性の解放」のシンボルのように言われていると聞いた事があるが、芸能人や元アナウンサーの方等のセックス映像が出回ったり、売春を強要されたりもするタレント事務所等があると聞き、芸能人でなくとも、若くてかわいくてきれいな人やそうでないかもしれない人を金で買い殺すような、餌食にするような事はやめてほしいし、そういう事件も見たくないと、老婆心ながら思っていた。


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前者の「セキ☆ララ」は、「個」の生活に必要なお金を得る為に其処で終わってしまう、あるいは断ち切れてしまうような心もとない擬似的な愛の行為、その特殊な「場面」限りの行為に重きをおいているように思われたが、

後者の「Dear 平壌」は、女性が撮った映像という事も大きいと思うが、「家族」と一緒に食べたり寝起きするような生きている限り繋がっていくような生活の中のささやかだけれど強く重たい愛情の「歴史」のようなもの。そこに愛があるか、というよりも、血のつながりが近いかどうかで、映像は変わってくるのかもしれないと思わせる何かがあリ、より共感できる、ある意味、自分のような日本に暮らすのが当たり前と思っているような、そういった立場に立った事のない日本人や、一世二世三世の在日の人に限らず、あらゆる国の人たちにも通じる普遍的なものや、人を物扱いしない「落ち着き」のようなものが垣間見られた。

北朝鮮に渡った息子達に物資の仕送りをする両親と、その北朝鮮的思想教育活動の担い手であり続ける両親との間の葛藤を、娘である監督が撮り続けたと言うホームビデオ的な映像の端々に、北朝鮮という場所やそこを支配している思想よりも、家族の為に、お金や物資を送り続けている人たちのやるせなさを感じさせた。


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ミサイル等の装備をしているという事や、北朝鮮の研究者が今、英国に飛んで、非公式の会議をやっていると言うニュースがあり、何とも言えない気がしていた。

イスラエルのガザからジャーナリストを六日までにでないとどうなるか分からないと言うような事前通知をしている動きと連動した「しかけ」のようで、たいそう気持ちが悪いのだが、そうしたことを画策するようなことはやめて、在日の方々やガザの方々の、生き別れ離ればなれの人たちや、危険にさらされ続けている人たちの願いのようなものを引き裂くようなことはやめてほしい。
by akikonoda | 2009-02-05 13:46
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